大型株の急上昇が一服し、相対的に出遅れていた中小型株に注目が集まっています。中小型株の特徴と、アクティブ(積極運用)型投資信託の強みを組み合わせた中小型株ファンドは、長期的な資産形成において魅力的な選択肢です。

中小型株の魅力と、投資する上で気を付けたいポイントを紹介します。


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中小型株に、出遅れ解消の好機到来!?

 日本株の上昇相場が続いています。高市トレードやAIブームを追い風に、日経平均株価は10月の1カ月間で7,478円(16.6%)上昇。史上初の5万2,411円をつけました。


 足元では大型株の過熱感が警戒される声もある中、出遅れ感がある中小型株に注目が集まっています。割安度の観点で株価収益率(PER)、株価純資産倍率(PBR)を見てみると、大型株のTOPIX100よりも、中小型株のTOPIX Smallの方が割安な水準にあることが分かります。次の投資機会が、中小型株に巡ってくる可能性が高まっています。


 市場が大型株から中小型株へ資金をシフトするとき、出遅れの解消分が評価の見直しにつながりやすく、相対的なリターンの上昇が期待されます。


【TOPIX100とTOPIX Smallの割安度(PERとPBR)の比較】
今こそ、出遅れ「中小型株」ファンドに注目!成長と安定のいいとこ取り
※東京証券取引所の公表データを基に筆者作成(10月9日現在)

なぜ今、中小型株なのか?二つの投資メリット

(1)成長性と安定性の「いいとこ取り」


 一般的には中小型株と一言で表現することが多いですが、中型株と小型株では事業の規模や株価の特性が少々異なります。


 中型株はすでに一定の事業基盤を持っている企業の株式で、商品拡充や販路拡大、デジタル化といった施策でさらなる成長が期待されます。大型株のような成長の天井に達していない一方で、小型株ほど経営基盤が脆弱(ぜいじゃく)でもないため、成長余地と安定性が両立する「ちょうど良い」投資先といえます。


(2)値上がり期待大、割安


 一方、小型株は成長段階にある企業の株式で、事業拡大による大きな値上がりが期待できます。情報が十分に広まっていないため割安な銘柄も多く、独自ビジネスや新技術を持つ企業が見つけやすい点も魅力です。市場全体の動きに左右されにくく、高リターンを狙える投資対象として注目されています。


「中小型株ファンド」は、長期投資で威力を発揮

 日本株の投資信託(ファンド)で実績を比較すると、歴史的に中小型株ファンドは長期で優れた運用成果を上げてきました(中小型株効果)。これは、市場の平均を大きく上回る成長を遂げる銘柄が大型株よりも多く存在するためです。短期的には価格の変動が大きくなることもありますが、長期投資の視点では中小型株効果が資産形成に有利に働きやすいといわれています。


【楽天証券分類 国内株式と国内株式(中小型)の長期実績比較】
今こそ、出遅れ「中小型株」ファンドに注目!成長と安定のいいとこ取り
※楽天証券分類平均インデックス「国内株式」、「国内株式(中小型)」の月次リターンを基に、1998年3月末を100として指数化。

「中小型株」と「アクティブファンド」は相性抜群

 中小型株市場では、企業が持っている情報と投資家が入手できる情報の間に格差が生まれる「情報の非対称性」が大きくなりやすい特徴があります。そのため、投資信託では代表的な株価指数との連動を目指すインデックス(指数連動)型よりも、入念なリサーチを行うアクティブ(積極運用)型が有利に働きやすい傾向があります。


 実際に、中小型株に特化したファンドの中には、インデックスを大きく上回る優秀な成績を出しているものが多数あります。運用者の銘柄発掘力や企業訪問、業界理解が超過収益(アルファ)創出に直結するため、ファンド選びでは運用スタイルや運用方針、運用成績の継続性・再現性をよく見ながら選ぶとよいでしょう。


注目の中小型アクティブファンド3選

 例えば、割安な中小型株に投資したいなら「 イーストスプリング・ジャパン中小型厳選バリュー株ファンド 」。徹底したバリュー投資哲学に基づき、株価が企業価値に対して割安に評価されている銘柄に集中投資するファンドです。


 また、長期的に大きな成長に期待したいなら「 企業価値成長小型株ファンド 」。小型株の中から、利益成長による将来の自己資本利益率(ROE)水準やその改善に着目し、企業価値の成長が見込める銘柄に投資するファンドです。


 そして、割安株・成長株にこだわらず「いい企業」に投資したいなら「 アクティブ元年・日本株ファンド 」。4人の運用担当者が割安度・成長性などさまざまな観点で魅力的と判断した銘柄に投資を行い、投資アイデアや運用スタイルの分散が期待されるファンドです。


中小型株ファンドへの投資で気を付けたいポイント

 大型株中心のポートフォリオに中小型株ファンドを組み入れることで、投資アイデアの分散や長期的なリターンの改善が期待されます。


 ただし注意点もあります。中小型株は流動性が低く、下落局面での売り圧力を受けやすいため、ポートフォリオ内の比率は自身のリスク許容度や運用期間に応じて慎重に設計することが重要です。また、ファンド選びでは組入銘柄の分散度や上位銘柄の組入比率、特定業種への偏りの傾向などを確認するとよいでしょう。


 大型株の急上昇が一服し、中小型株の相対的な出遅れは有望な投資機会を示唆しています。中小型株効果とアクティブ運用の強みを組み合わせた中小型株ファンドは、長期的な資産形成において魅力的な選択肢です。運用者のリサーチ力とリスク管理がカギになりますので、ファンドの中身を丁寧に確認した上で、積立投資などで段階的に組み入れていくことをおすすめします。


(吉井 崇裕)