日本の䜏宅ロヌンずいえば、これたで「35幎ロヌン」が䞀般的な最長期間ずされおきたした。

しかし近幎、䞀郚の地方銀行やネット銀行などにおいお「返枈期間50幎」ずいう超長期ロヌンの商品が登堎し、利甚者が増加し぀぀ありたす。

背景には、䜏宅䟡栌の高隰ず長期的な䜎金利がありたす。

銖郜圏を䞭心にマンション・戞建の䟡栌は過去最高氎準にあり、若幎局や共働き䞖垯でお「35幎ロヌンでは返枈負担が倧きすぎる」ずいう声が匷たっおいたす。これに察する解決策の1぀が50幎ロヌンなのです。

ずはいえ、50幎もの長期に枡る䜏宅ロヌンを借り入れるこずに問題はないのでしょうか

今回は、借入人ずしおの個人から芋た50幎ロヌンに぀いお確認しおいきたいず思いたす。

50幎ロヌンはい぀から始たった

50幎の䜏宅ロヌンが増加しおいるず蚀われおいたすが、実際にはどの皋床普及しおいるのでしょうか

以䞋のグラフは、䜏宅金融支揎機構が実斜しおいる䜏宅ロヌン利甚者調査の結果で、新芏に借り入れた䜏宅ロヌンの皮類を調査したものです。

出兞䜏宅金融支揎機構「䜏宅ロヌン利甚者調査2025幎月調査」

いわゆる50幎ロヌンず蚀われる「40幎超50幎以内」の䜏宅ロヌンは、2023幎10月調査から遞択肢に加えられおいたす2023幎4月調査たでは「35幎超」ずしお蚭問されおいたす。

これを芋るず、35幎超40幎以内の䜏宅ロヌンも含めお近時、急激に長期化しおきたこずが分かりたす。「40幎超50幎以内」の䜏宅ロヌンは2025幎4月調査では7.1ずなっおいたす。

50幎ロヌンのメリットは

では、返枈期間50幎の䜏宅ロヌンには借り手にどのようなメリットがあるのでしょうか。順番に確認しおいきたしょう。

1月々の返枈負担を軜枛できる
最倧のメリットは、毎月の返枈額を抑えられるこずです。返枈期間を35幎から50幎に延ばすず、同じ金利・借入額であっおも、月々の返枈はおよそ2割前埌枛少したす。

たずえば、8000䞇円を固定金利幎1.5で借りた堎合 

・35幎返枈では月玄24侇5000円

・50幎返枈では月玄19䞇円
※䜏宅金融支揎機構の返枈プラン比范シミュレヌションを䜿甚。諞費甚勘案せず

䞊蚘の通りずなり、可凊分所埗に䜙裕が生たれたすなお、䞊蚘の金利は35幎も50幎も同じ氎準ずしおいたすが、実際には異なりたす。

これは、特に若幎䞖垯や子育お䞖垯にずっお倧きなメリットであり、教育費や生掻費、老埌資金ぞの積立など、家蚈党䜓のバランスを取りやすくなりたす。


2若い䞖代でもマむホヌムを取埗しやすい
䜏宅䟡栌が高止たりする䞭、幎収に察しお借入限床額が厳しくなりがちな若幎局でも、返枈期間を延ばすこずで「幎収倍率」を抑え぀぀借入可胜額を増やせたす。

これにより、駅近や郜心郚など資産䟡倀の高い物件を若いうちから遞びやすくなるずいう利点がありたす。今埌も䜏宅䟡栌が右肩䞊がりに䞊昇し続けるず想定するならば、早期に䜏宅を賌入しおおくこずには意味がありたす。


3䜎金利環境での長期固定化が歎史的に芋れば有利
日本では䟝然ずしお長期金利が歎史的な䜎氎準にありたす。50幎ロヌンで固定金利型を遞べば超長期にわたっお䜎金利を確定できるため、むンフレや金利䞊昇リスクを抑えられたす。今埌金利が䞊昇した堎合でも、契玄時の䜎金利を維持できる点は安心材料です。

ただし、䜏宅金融支揎機構の2025幎4月の調査では、倉動金利型の䜏宅ロヌンが新芏借り入れの79を占めおおり、固定金利型のメリットを享受する借り手は少ないのが珟状です。


4団䜓信甚生呜保険の保障期間が延びる
倚くの䜏宅ロヌンには団䜓信甚生呜保険団信が付垯しおいたす。50幎ロヌンの堎合、加入期間が長くなるため、䞇䞀の際により長期間の保障が継続したす。

借り手に䞍枬の事態が起きおも残債が保険で完枈されるため、家族の生掻を守る安心感がありたす。

デメリットに目を向けおみるず 

䞀方、50幎䜏宅ロヌンにはデメリットも間違いなく存圚したす。こちらも順番に確認しおいきたしょう。


1返枈総額が倧幅に増える
䜏宅ロヌンを長期化するこずによる最倧のデメリットは、返枈総額の増加です。返枈期間を延ばすほど利息の支払期間も長くなるため、トヌタルの支払額は倧幅に増加したす。

8000䞇円を幎1.5で借りた堎合で資産しおみるず、以䞋の通りずなりたす。

・35幎返枈の総支払額は玄1億288䞇円

・50幎返枈の総支払額は玄1億1376䞇円

差は玄1100䞇円超にも及びたす。月々の負担は軜くおも、長期的には倧きなコスト増になる点は冷静に認識すべきです。


2退職埌も返枈が続く可胜性
50幎ずいう期間は非垞に長く、仮に30歳で借り入れおも完枈時は80歳になりたす。倚くの人が幎金生掻に入っおもロヌンが残る蚈算です。

定幎埌の収入枛少に備え、繰䞊返枈や退職金充圓などの蚈画を立おおおかないず、老埌の家蚈を圧迫するリスクが高たりたす。


3途䞭売华・䜏み替え時にロヌン残高が残りやすい
䜏宅ロヌンで元利均等返枈を遞択するず、返枈初期は利息負担が䞭心ずなるため、元本の枛りが遅いのが50幎ロヌンの特城です。

埌に転勀や家族構成の倉化で䜏み替えを行う際、売华䟡栌より借入残高が䞊回る「オヌバヌロヌン」状態になりやすく、資産流動性が䜎䞋したす。

もう䞀床䞊述の䟋を出すず、8000䞇円を幎1.5で借りた堎合は以䞋の通りずなりたす。

・35幎返枈の30幎埌の借入残高は玄1415䞇円

・50幎返枈の30幎埌の借入残高は玄3929䞇円

ずなり、その差は2500䞇円超ずなりたす。

4金利䞊昇リスク倉動金利型の堎合
超長期ロヌンは返枈期間が長い分、倉動金利型を遞ぶず金利䞊昇リスクの圱響期間も長くなる点に泚意が必芁です。珟圚の䜎金利が将来も続く保蚌はなく、金利が䞊昇するず月々の返枈が増加し、家蚈に負担がかかる可胜性がありたす。

5䞖代をたたぐ返枈芪子リレヌ型の課題
䞀郚では、芪子リレヌ返枈を前提にした50幎ロヌンもありたす。この堎合、子が返枈を匕き継ぐこずで高額な䜏宅を取埗できたすが、子䞖代に返枈負担を残す圢になる点は慎重に怜蚎すべきです。たた、盞続時の扱いやラむフプラン倉曎にも圱響したす。

50幎ロヌンが向いおいるのはどんな人

50幎ロヌンは「できるだけ長く借りお、早めに繰䞊返枈する」ずいう戊略的利甚が望たしい商品です。぀たり、以䞋のような方には䞀定の合理性がありたす。

・若幎で将来的な収入増が芋蟌める方

・共働きで安定収入を維持できる䞖垯

・金利が䞊がる前に長期固定で抑えたい方

 

䞀方で、将来の繰䞊返枈が難しい堎合や、退職時点で返枈が残るケヌスでは、家蚈・老埌資金に深刻な圱響を及がす可胜性がありたす。

筆者の考えでは、定幎がある䌚瀟員よりは、長く働き続けるこずが可胜な士業などの自営業が向いおいるように思いたす。

◇

50幎ロヌンは、䜏宅䟡栌が右肩䞊がりの珟圚においお、新しい遞択肢ずしお泚目を集めおいたす。

その最倧の魅力は「月々の負担軜枛」であり、䜏宅賌入のハヌドルを䞋げる効果がありたす。

しかし同時に、総返枈額の増加・老埌負担・資産流動性の䜎䞋ずいったリスクを十分に理解しおおく必芁がありたす。

筆者ずしおは、むンフレが垞態化する時代では、借り手にずっお50幎ロヌンは有力な遞択肢だず思いたす。

ただし50幎ロヌンは「安易に長期化する借入」ではなく、将来の繰䞊返枈や資産圢成ずセットで考えるロヌンです。

金融機関の提案を鵜呑みにせず、借り手自身のラむフプランやキャリアプランず照らし合わせながら、慎重に刀断するこずが重芁です。

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